2015年9月に労働者派遣法が改正される以前は、派遣可能期間を「業務軸」で決めていました。専門性の高い“いわゆる政令26業務”については、派遣可能期間の制限が無く、いつまででも同じ部署で同じ仕事をすることができ、政令26業務以外の業務の派遣可能期間は原則上限3年間でした。2015年9月の改正で、派遣可能期間の判断基準が「仕事軸」から「人軸」に変更されました。業務内容に関係なく派遣会社に無期雇用されている派遣社員の場合は、派遣期間の制限無く同じ派遣先の同じ職場で働くことができますが、有期雇用の場合は、派遣可能期間が3年間までとなりました。では、同じ職場で長く働きたい場合はどうすればよいのか、エンジニアが派遣で働く場合の働き方や雇用契約について解説します。
エンジニアが派遣として働く場合の雇用期間について
派遣可能期間の判断基準が「人軸=派遣会社との雇用形態」となり、エンジニアが派遣で働く場合もこれに準じますので、有期雇用の場合は、同じ派遣先では3年間までしか働くことができません。すでにお分かりの通り、派遣会社と無期雇用を締結していれば、3年という期間の制限は適用されませんので、同じ職場で3年以上働き続けたい場合には、このように派遣元(派遣会社)との雇用契約が無期雇用である必要があります。
エンジニアの場合は、短期の仕事はどちらかと言えば少ないですし、技術の仕事はエンジニア個人のスキルと経験が仕事の品質を左右する側面がありますので、実態としては無期雇用のケースが多いのではないでしょうか。
派遣としての自分に合った働き方
では、派遣社員として働く際、どのようなときに有期雇用を選び、どのようなときに無期雇用を選べばよいのでしょうか。このことは、あなたが働こうとしている派遣会社の雇用に対する考え方に一致しますので、雇用形態を選ぶというよりは、派遣会社を選ぶといった方が適切かも知れませんね。それでは、具体例をみてみましょう。
■できれば長期間、同じ派遣先で仕事がしたい
同じ派遣先で長期間働きたいという希望が最初からある場合は、派遣会社と無期雇用契約を結んでおく必要があります。そうすれば3年という上限を気にする必要なく働くことができます。無期雇用の会社の場合は、従業員への教育研修も充実していますし、従業員に長く働いて欲しいと思っていることが多く、キャリアアップやキャリアチェンジの機会もあります。
■いろいろな業務に携わりたいが、自分に合う仕事が見つかったら長く働きたい
同じ派遣先で働き続けることにはこだわらず、なるべくいろいろな業務に携わってエンジニアスキルを磨きたいと思っている方もいるでしょう。ただし、その過程で仕事内容や職場の雰囲気が自分と合う派遣先が見つかれば、3年を超えて働きたいと思うこともあると思います。このような場合は最初から無期雇用をしている派遣会社を選んでおけば選択の幅を持たせておくことができます。途中で無期雇用に切り替えることも可能ですが、途中から雇用形態の変更を受け入れてくれるかどうかはその会社次第となります。
■2~3年程度で職場を変えたい、海外留学の資金を貯めたい
無条件で2~3年程度で職場を変え、環境を変えながら働きたいと思っている人や、3年以内に海外留学や独立の計画があり、そのための資金を貯めるために働く場合などは、仕事内容・勤務地域・給与などが重要でしょうから、自分の考える条件を満たす仕事であれば無期雇用ではなく有期雇用でも問題ないでしょう。ただし、仕事をする上では、様々な場面に遭遇しますので、派遣会社の給与・待遇・各種制度・福利厚生などは十分に確認することが大切です。
このように、派遣として働くときには有期雇用と無期雇用について意識をしておくことが大切です。自分に合った雇用契約のスタイルはどちらなのか、働き始める前に一度よく考えてみてください。有期・無期にかかわらず、派遣会社はたくさんありますので、企業研究は欠かせません。
厚生労働省職業安定局「人材サービス総合サイト」では、労働者派遣会社、職業紹介会社、派遣事業制度についてなど各種の情報をご覧頂く事ができます。
http://www.jinzai-sougou.go.jp/Index.aspx
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(2016.05.26)