社員インタビュー

エンジニアインタビュー|小野 武・小池 真夏

PROFILE

小野 武

テクノプロ・コンストラクション
営業推進部 ICT 施工推進課
i-Construction 推進担当

小池 真夏

テクノプロ・コンストラクション
営業推進部 ICT 施工推進課
i-Construction 推進担当

株式会社テクノプロ・コンストラクション(TCS)では、建設業界で急速に導入が進んでいるi-Construction、BIM/CIM など、日々進化する最新技術への対応を積極的に推進しており、そのひとつとしてドローンの特性を生かして人が入れない狭小なスペースや危険な場所の点検を行うサービスも提供しています。今回は、そのドローン点検サービスの業務に携わっている営業推進部 ICT 施工推進課の小野 武さん、小池 真夏さんにインタビューを行い、お話をお伺いしました。

人の入れない屋内の狭小空間の点検調査で活躍するドローン『IBIS』

―ドローンによる点検業務の依頼が増えているそうですが、どのような作業を行うのかについて具体的な事例を教えていただけますか。

小池 最近、私たちが携わった業務は、ショッピングモールの天井裏にドローンを飛ばし、天井を吊るしている吊りボルトに異常がないか確認するというものでした。建造物は経年劣化することが避けられませんので、安全を確保するために綿密な点検調査が重要なのですが、天井裏は暗くて配線も複雑に絡み合っているため確認は簡単ではありません。そんなケースで力を発揮するのが私たちが使っているドローン、『IBIS(アイビス)』で、これを使用して吊りボルトの点検を行いました。
IBIS はバッテリー容量の関係で、1回5分程度しか飛ばすことができないため、途中で墜落させないために撮影可能な往復距離を計算し、何回かに分けて天井裏を撮影していきましたが、この時に建物にドローンをぶつけて傷をつけてしまわないように細心の注意を払いますので、業務が終わるまでは一瞬たりとも気を抜けませんでした。

―IBISはどのような特徴があるドローンなのでしょうか。

小野 IBISはドローンの中でも比較的最新のものに分類される機種なので、扱っているパイロットが業界の中でも少なく、おかげさまでたくさんの引き合いをいただいています。
IBISが通常のドローンと決定的に違うのは、その大きさです。ドローンというと大きな機体が屋外を飛び回っているイメージを持つ人も多いと思いますが、IBISは「暗くて狭い場所専用」というコンセプトを持っており、屋内の狭小空間を安定して飛ばすことができるように、プロペラガードを含めた寸法で 191×179×54mm 、重さ185gと非常に小型です。屋外用のドローンはGPSにより位置情報を把握して操縦する仕組みなのに対して、IBISは 70~100mの範囲内における無線通信方式なので、非GPS環境下においても飛ばすことができます。例えば天井裏や配管内、ボイラー内部などの、人が直接作業をすると危険が伴う場所や人が入れない場所でも入っていくことができるんです。また高性能なカメラと強力なLEDライトも搭載されているため、暗くて粉塵が舞っているような場所でも飛ばすことができますし、撮影した映像も鮮明ですので、建造物の異常を正確に把握するのに役立ちます。現場によっては職人さんの手による打診検査が必要な場合もありますが、IBISで撮影した映像によって事前に異常箇所の当たりをつけることができるので、これまでのすべて人の手による点検でかかっていた時間やコストを大幅にカットすることも可能になりました。

見た目以上に難しい操縦を覚えるためにひたすら自宅で練習

―狭小空間で飛ばすのは難しそうですが、どうやって操作を習得されましたか。

小池 コロナ禍で在宅勤務をすることもありましたので、機体を家に持ち帰ってとにかく練習するようにしました。椅子の下を通らせてみたり、自宅の天井裏に飛ばしたり……。最初は宙に浮かせた状態を保つホバリングという操作だけでも難しかったですね。先ほど小野さんが言ったとおり、屋外で使用するドローンにはGPSによる自律制御機能がありますので比較的ホバリングしやすいのですが、IBISは小型軽量が売りですし、GPSが届かない屋内作業を想定しているため、GPSを搭載していません。また、機体も185gと軽い分、下方向からの風圧ですぐに揺らいでしまうので、操縦には神経を使いますし、ホバリングやゆっくり飛行するのは見た目以上に難しいんですよ。
そういった意味では、先ほど申し上げた「バッテリー容量の制限で1回5分の飛行」というのは常に集中力を保って安全・確実に操縦するためにはちょうどいい時間で、仮にバッテリー性能が大きく上がったら体がもたないかもしれませんね。

小野 一般のドローンのように機体を目視して操縦する感覚と、IBISのようにカメラの映像を見ながら操縦する感覚は違うので、私はまずその感覚に慣れていくことから始めました。小池さんも触れていたホバリングは最初の関門ですね。でも、これができないと業務で使用することができないので、私もひたすら家で練習していました。お客様のご要望に柔軟にお応えできるように、今後も練習を続けていきたいと思っています。

―改めてになりますが、お2人のご経歴について教えてください。

小野 私は学生時代には経理の勉強をしていて、ドローンに関わるようになったのはドローン販売の仕事に就いてからです。当時はドローンの実演販売をしていたので、お客さまにドローンの操縦を体験してもらいながら、自分自身も操縦の技術を高めていきました。そんな中で、次第に「操縦専門の仕事がしたい」と思うようになり、ドローンパイロットを募集していたTCSに入社しました。現在は測量業務をすることもありますが、メインで携わっているのはドローンを用いての建築構造物の点検業務です。

小池 TCSに入社する前は、インフラ工事に関わる仕事をしていました。そのかたわらで知人が経営する映像制作会社のサポートをしていましたが、そこでカメラやドローンに触れる機会があり、どんどんのめり込んでいきました。自分でドローンを使った映像制作もしましたし、好きが高じて「DJIスペシャリスト」というドローン資格も取得しましたので、「これを本業にできないか」と思ったのが TCS に入社したきっかけです。

―最後に、ドローンを使った業務はどんな人に向いていると思われますか。

小池 とにかく機械であったり、ラジコン、映像などが好きな人が向いていると思います。たくさん練習を積むことになるので、ドローンを触っていることが好きで、熱中して取り組める人がいいですね。

小野 業務中はドローンを墜落させないこと、ドローンで建物を傷つけないことが重要ですので、とても緊張感があります。これまで約30の現場を経験してきましたが、このプレッシャーがなくなることはありません。そのためかなりの集中力が必要とされる仕事でもありますが、オンオフのメリハリがつけられるので、これが心地よく感じられる人には適した仕事ではないでしょうか。

小野さん、小池さん、業務がご多忙な中、いろいろな話をお聞かせいただきありがとうございました。

インタビュー後、ドローンを実際に飛ばしていただきました。小さなプロペラ4つで機体を浮かせるIBISの飛行音は小型の機体にしては迫力があります。機体に搭載されたカメラから送られてくる離れた場所の映像をモニターで確認しながら操縦するので、建物のどの位置を飛ばしているのか、ドローンがどちらを向いて飛んでいるのか、この感覚を把握できるようになるまでには相当な訓練が必要になりそうです。今回は椅子やテーブルを建物内の構造物や機器類に見立てて飛ばしていただきましたが、難なく狭いところを撮影しながらゆっくりと飛行する技術は「さすが」のひと言。1人が操縦している間、もう1人はラリー競技のコ・ドライバーのように上下左右の位置取りを確認して指示するなど、2人のコンビネーションも抜群でした。

▼ドローンで実際に撮影した動画

ドローンを利用した3次元計測、空撮、点検等を行なう TCS のICT事業では、保有する複数種類のドローンで屋外・屋内・空撮のすべてに対応。熟練のドローン操縦経験者が多数在籍し、全国への出張対応も可能で、以下のようなことが実現可能です。
・3次元計測により作業時間の短縮、点群データ化、土量体積計算が容易に
・点検のため足場やゴンドラを組む必要がなくなることで経費を削減
・人が立ち入ることができない狭所、天井裏、下水道等の暗所の点検調査が可能

「作業効率が上がった」「目視確認できない箇所を把握でき施主への報告に活用できた」など、お客さまから高い評価を頂いているTCSのICT事業に関する詳細については、下記ウェブサイトをご覧いただくか、ICT施工管理課にお問い合わせください。
【ICT事業ウェブサイト】https://www.technopro-construction.com/ict-lp

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