技術サービス業界での働き方

「軸」をもった就職活動で“自己実現”

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今回は、就職活動を控えた新卒の方に向けて、“自己実現”というテーマでお話します。
いよいよ就職活動が始まりますね。「どの会社にエントリーしようかな?」と、いろいろ悩んでいるのではないでしょうか。

      “業界を絞って一括エントリー”
      “会社名を知っている企業は一通りエントリー”
      “まずは希望職種を募集している企業にエントリー”

ちょっと待って!そのエントリー方法は正しいですか?
就職雑誌、就職セミナー、合同説明会、就職サイト、学校のキャリアセンター、教授の助言、先輩の体験談・・・、様々な情報が氾濫しています。
それぞれの情報が同一のものさしではありませんので直接比較する事もできません。
何をどのように理解すればよいのか良く分からないというのが正直なところではないでしょうか。

どのような考えをもとに、企業を選ぼうとしていますか?

      1.とにかく有名な企業
      2.身近な商品を作っている企業
      3.学校の専門が活かせる企業
      4.自分のやりたい事ができる企業
      5.仕事も重要だけど、プライベートの時間も確保できる企業
      6.長く働けそうな企業
      7.社会貢献活動に力を入れている企業

多くの情報や沢山の人の話に触れて、次第に就職や仕事に対する自分の考えがまとまって来たタイミングで、自分の会社選びの “軸” を文章にまとめることをお勧めします。
これにより、多くの企業を同じものさしで見る事ができる様になりますし、 就職セミナーや合同説明会でも自分にとって意味のある質問ができる様になります。
逆に、自分の “軸” を整理しておかないと、企業情報を調べたり、会社説明を聞く度に、『良さそうだな!』と感じてしまい、いつまで経っても自分に適した企業を探す事ができないのではないでしょうか。

それでは、 “軸” とはどのようなものでしょう。

先ほど記載した上の1から7の例を見て、『なぜ?』を説明してみてください。
例えば、
「とにかく有名な企業に就職したい・・・なぜ?」
「自分のやりたい事ができる企業に就職したい・・・なぜ?(自分のやりたい事は・・・なに?)」

というように、自問自答することから “軸” が見えてきます。
とは言え、1と2以外は、実際に働いてみないと本当のところは分からない内容ですね。
結果として、自分の会社選びの “軸” でエントリーし、会社説明会や面接を通じて、その “軸” が実現できる可能性が高そうかどうかを確認する事になります。

事業/仕事内容を “軸” として考える

会社選びの “軸” を解説する就職マニュアルやサイトは数多ありますが、概ね事業/仕事内容、将来性、社風を挙げることが多いです。
そこで、ここでは事業/仕事内容について考えてみたいと思います。
ただ、一口に事業/仕事内容といっても幅が広いので、自動車メーカーでエンジニアとして自動車を作る仕事を例に取りましょう。

自動車を作る仕事といっても、以下のような、いくつものステップに分かれます。※各ステップは、あくまでも例です。

      ステップ1 市場調査(購買客のニーズ、競合他社のラインアップ)
      ステップ2 商品企画(これからの新車のターゲット購買層、用途、基本性能、色、大きさ、価格、発売時期を大まかに設定)
      ステップ3 構想設計(商品企画の設定を受け、外観モデル、各機能の基本要件を決定)
      ステップ4 基本設計(外観モデルや基本要件をベースに完成図面設計、ユニット図面設計)
      ステップ5 詳細設計(完成図面やユニット図面を構成する各部品の詳細設計)
      ステップ6 解析(振動、曲げ、衝撃、熱、温度、磨耗等に対する耐久力をPC上で解析)
      ステップ7 実験(完成車に近いもので、走行実験や衝突実験)
      ステップ8 量産(工場の生産ラインで量産)

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ステップ2からステップ7は全てエンジニアの仕事です。
>あなたは、どの仕事をやってみたいですか?
自動車製造といっても様々なステップがあり、どの部分に関わりたいかを考える必要があります。
ステップ4からステップ6は、作業項目数も多く、技術革新も速い上、想像できないほど大勢のエンジニアが必要な工程です。このためメーカーは、これらのステップを自社のエンジニアだけで担当するのではなく、技術サービス会社の専門エンジニアと協力体制を組んで、決められた品質と納期を守る体制を構築しています。
>どのように関わりたいですか?
>その仕事をいつまでやりたいですか?

例えば、自動車メーカーには、商品企画部、設計部、品質保証部、製造部など技術にかかわる部署以外に、総務部、人事部、経理部、購買部、広報部など技術には関係しない部署もたくさんあります。
仮にエンジニアとして入社しても、技術以外の部署に異動になることもありますし、上の説明の通り、具体的な設計開発業務は技術サービス会社の専門エンジニアに協力を仰ぐことが合理的なことが多いため、技術関係の部署であったとしても、設計開発業務以外の仕事を担当するケースも多くなってしまいます。

メーカーの多くが、自前主義ではなくなってきているのです。この理由は大きくわけて3つ考えられます。

一つ目の理由としては、開発期間の短縮化により、自社エンジニアのみでは、同時発売予定日に間に合わないこと。(他社との開発競争のため、発売予定日の後ろ倒しは不可です。)
二つ目は、多品種同時開発による、エンジニアの絶対数不足のため。(常に多品種同時開発ではないので、最大値人数を採用すると人が余ってしまいます。)
三つ目は、技術革新が早く、社内での育成が間にあわないため。(当然育成はしていますが、プロジェクトを担当する全てのエンジニアを育成できません。)

常に開発に必要なエンジニア数が一定ではない開発現場において、ピークに合わせてメーカーの正社員を採用してしまう事ができない事情も見えてきます。そこで専門技術を持つエンジニアを必要なときに必要な人数だけほしいというメーカーのニーズが生まれ、それに応えるのが技術サービス会社ということになります。
結果、『自分が設計した商品を使う人たちの笑顔が見たいので、生涯設計開発の仕事がしたい』という事業/仕事内容の “軸” で会社を選ぶとすると、技術サービス会社になりそうです。

初めて社会に出る若者は、自己実現の夢を持って力いっぱい羽ばたいて欲しいと願っています。

調査並びに報告:株式会社スマートウィル(報告:2017年1月10日)

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