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お茶大「CIAO!」から、ようこそインターン

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国立大学法人お茶の水女子大学の『CIAO!(チャオ)』(Career Innovator Accelerator Office)は、大学院生のためのキャリア支援組織。親しみやすい愛称の組織ですが、同大学が掲げる「企業等を含む社会のあらゆる分野において中核的役割を果たす女性リーダーの育成」という使命の実現に向けて多彩なキャリア支援の取り組みを行っているそうです。今回はお茶の水女子大学お茶大アカデミック・プロダクション人材育成部 特任講師の星かおり先生に、テクノプロ・R&D社柏リサーチセンターでお話を伺いました。

親しみやすいキャリア支援の場を目指す「CIAO!」

―まずは、星先生の所属する人材育成部について教えてください。

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星先生 お茶の水女子大学は、平成20年に人材育成と産学官連携を推進する組織として「お茶大アカデミック・プロダクション」をスタートさせ、人材育成部と産学官連携部を設置しました。私の所属する人材育成部では、企業などの中核的人材となる女性リーダーの育成・博士人材のキャリア支援を推進してきました。その後、平成23年度にはアカデミアで科学技術の発展に貢献するばかりではなく、国内外の産業界で活躍できる博士人材の育成に向けた取り組みを推進することを目的とした文部科学省 科学技術人材育成費補助金事業の「ポストドクター・キャリア開発事業」 ―長い名前なので話の中では「ポスドク事業」と呼びますが― に本学も採択されたのです。このポスドク事業は平成28年3月に終了しましたが、本学も含め文科省の事業に採択された各大学の取り組みの相乗効果もあって、企業における博士人材の雇用を促進できたのではないかと思っています。

もともと、ポスドク事業の主な支援対象は博士号取得後のポストドクターだったのですが、博士人材の就職問題の解決方法を検討していった結果、ポストドクターになる前の大学院生に対する早期のキャリア支援を実施することが有効であるという考えに至りました。そこで、ポスドク事業が終了したタイミングをきっかけとして主たる支援対象を博士後期課程生にシフトし、今年2016年4月から「CIAO!」として新たなスタートを切ることになりました。より多くの院生たちに親しみを持ってもらい、キャリア支援の場があることを知ってほしいという気持ちで「CIAO!」という名前を付け、ロゴマークを公募するなど広報活動にも力を入れました。お問合せ先メールアドレスの頭の部分も「ciao@」なんですよ。

― 今日、同席いただいている西脇さんには、その「CIAO!」を通じてテクノプロ・R&D社にインターンに来ていただきましたが、その経緯をお聞かせください。

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星先生 西脇さんがテクノプロ・R&D社さんにインターンとしてお世話になるきっかけになったのは、6月に開催した『インターンシップ説明会』です。説明会直前までは「集まっても3人くらいかな……」と思っていたのですが、説明会には50名もの学生が集まってくれました。主催者側としては対応に追われ大変でしたが、嬉しい悲鳴でしたね。ここまで多くの院生がインターンに関心を持っているとは想像もしていなかったので、院生の状況やニーズをより理解する必要があると反省させられた面もあります。

西脇さんもこの説明会に参加していて、その後の個別面談で本人の希望を確認したところ、テクノプロ・R&D社さんなら彼女がインターンで挑戦したいことを叶えてくれるのではないかと考え、早速テクノプロ・R&D社さんに打診して今回のインターンが実現しました。

西脇さん 私自身、ずっとインターンに行ってみたいと思っていましたので、「CIAO!」主催の説明会案内を見た時に「大学が学生に対して企業への長期インターンシップを斡旋してくれるのは珍しいな」と感じて、すぐ参加を決めたんです。実際に説明会に参加してみると、インターンシップ制度を詳しく説明してくれましたし、インターン先の企業の事業内容や大学側のサポート体制などもすごく分かりやすかったので、インターンについて具体的にイメージでき、企業に行くことが楽しみになりました。

星先生 ミスマッチを防ぐために制度や受け入れ企業について詳しく説明するのは、ただ単に「インターンをした」という事実を作るだけでなく、「社会から何かを得る」という機会にしてほしいという考えがあるからです。学生のうちに社会との接点や企業での働き方を知る機会を持つことは大切ですし、その方法の一つとしてインターンのシステムを利用することは有効だと思うのですが、そのためにはまず学生が受け入れ先に上手に適応して、得られるものを最大化できる環境を、自ら作ることができるかどうかがとても重要です。私たちとしても、インターン生を送り出すとその後の様子は分かりませんから、受け入れ企業にご迷惑をおかけしていないかということはもちろん、インターン先での人間関係がうまくいっているか、あるいは有意義な経験が得られているのか、といったことが非常に心配になります。

西脇さんからは「とても親切にしていただいている」と連絡を受けていましたが、これまでの経験上、インターン生が気を遣って本音を言えずにいるケースもありましたので、素直に言葉通り受け取ってよいものか心配はありました。でも、今日久しぶりに西脇さんの姿を見た瞬間、みなさんと打ち解けていることがすぐに分かりましたし、指導いただいている方からも西脇さんが積極的に業務に取り組んでいると聞けましたのでとても安心しました。西脇さんの言う通り親切にご指導いただいている様子を目の当たりにして、改めてテクノプロ・R&D社のみなさんに心から感謝しています。
今回のインターンの意義として、企業における研究開発の場を体験するという目的はもちろんですが、その他にも西脇さんと同じように大学院を卒業した研究者が多く活躍しているテクノプロ・R&D社さんに身を置くことで、西脇さんが自分自身のキャリアを考えるための非常に良い機会になったのではないかと思っています。

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西脇さん テクノプロ・R&D社のみなさんにはすごく親しく接していただけて、とても楽しくお手伝いをさせてもらっています。柏リサーチセンターは通常の企業というよりは研究所や実験室に近い印象なので、当初私がイメージしていた一般企業とは少し違いますが、これまでに体験したことのない考え方や分析手法など、毎日新たな発見があってすごく勉強になります。特に、みなさんが研究者でありながらコストと納期を意識して実験に取り組んでいる姿を見て、社会で働く厳しさを身近で体感できたことが良かったですね。残りのインターン期間も頑張ります。

 

大学教員も学生に社会で活躍してほしい

― 社会での活躍を願う「CIAO!」の取り組みと、研究室でポストドクターとして活動してほしい教授との利害が対立するといった懸念はないのでしょうか。

星先生 かつては指導教員がポストドクターとして修了生を抱えることが当然、といった風潮があったのかもしれませんが、今の本学でそのような印象を感じることはあまりありません。他大学の状況は詳しく存じ上げないのでお茶大特有の話なのかどうかは分かりませんが、本学には学生に対してアカデミア、企業を問わず大学の外に出て活躍してほしいと願っている教員が多いような気がします。

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最近はアカデミアでの活躍を最終目標に限定せず、西脇さんのように企業で自分の力を発揮してみたいと思う学生も増えています。しかし、自分が「企業で働きたい」と指導教員に伝えたら難色を示されるのではないか……と思い悩んでいる学生が「CIAO!」に相談に来る時があります。そんな方に思い切って指導教員に相談するよう促して、実際に話してみるとその思い込みは単なる誤解だと分かるケースも多々ありますし、指導教員と学生の間の認識の差を実感することがあります。  
実は学生が思っている以上に指導教員は指導学生を尊重していますし、どのような形であっても社会で活躍することを願っているものなんです。学生のみなさんにもそういった教員の思いを知っていただき、その気持ちに背中を押してもらって、様々なことに前向きにチャレンジしてほしいですね。ただ、そうは言っても大学から社会へ輩出した人材が、企業や社会の持つ博士への期待を裏切るようなことがあってはいけませんので、後に続く後輩たちのためにも、博士人材としてのプライドと謙虚さを持って活躍してほしいと思います。

― 最後に、「CIAO!」として企業に期待していることなどがあればお聞かせください。

星先生 企業のみなさんには、今まで以上に大学内で活動していただきたいと強く願っています。大学と企業との接点は、現状では以前から研究室に出入りしている企業や研究室の卒業生が就職した先の企業など、限定的な範囲に留まっています。「CIAO!」は今後さらに学生と企業との接点を数多く生み出したいと考えていますので、企業の方々はぜひ、イベントなどに積極的に参加してほしいと思います。インターンについては、受け入れテーマの一覧などをご用意いただけると、学生が仕事について具体的にイメージしやすいので助かりますね。  

また、採用活動の一環としてインターンを受け入れる企業、そうでない企業、どちらも考え方は様々だと思います。インターンとして受け入れていただいた企業にそのインターン生が就職を希望するかというと、必ずしもそうではないかもしれません。ただ、もし仮に他の企業で活躍することになったとしても、企業間の連携や業界同士の発展などといった効用も考慮していただき、広い視野で人材育成にご協力いただけると非常にありがたいです。

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柏リサーチセンターのみなさんと

― 星先生、ご多忙な中にもかかわらずテクノプロ・R&D社柏リサーチセンターまでお越しいただき、また、学生のことを真剣に思う温かい気持ちがよく分かるお話を聞かせていただきありがとうございました。また、あと1年半で卒業となる西脇さんについては、テクノプロ・R&D社でのインターンシップが少しでもお役に立つ体験になればと願っています。今後のご活躍を期待しています。

(2016.10.14)

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