クラブ・サークル活動など
世界遺産富士山に登る/テクノプロ・IT社 福岡支店
2023.08.17
テクノプロ・IT社福岡支店に拠点を置く「テクノプロ・IT 福岡RC」は主に九州を中心にさまざまなマラソン大会などに参加しています。夏季はマラソン大会が無く、秋から始まるマラソンシーズンに向けての自主練習の期間となるため、例年この時期はテクノプロDoに報告できることはあまりありませんでした。
しかし、今年は違います!
先日の宝満山登山のレポートでお伝えしていた通り、7月13日から2泊3日の日程で、福岡支店から6名が空路で、さらに名古屋支店からも1名が新幹線で静岡に入り、計7名で富士山に登ってきましたので、その模様をご報告します。
世界遺産富士山に登る
まず初めに、富士山の頂上まで登るルートは主に4つあり、それぞれのルート名と出発地点となる登山口は以下の通りとなっています。
<黄色>吉田ルート:富士スバルライン五合目(山梨県)
<赤色>須走ルート:須走口五合目(山梨県)
<緑色>御殿場ルート:御殿場口新五合目(静岡県)
<青色>富士宮ルート:富士宮口五合目(静岡県)
中でも最も人気があり、登山者がダントツに多いのは吉田ルートで、全体の6割がこのルートを利用しているそうです。登山道も初心者向きで登りやすいとのことですが、登り口が山梨県内にあり、福岡からは登山口に到着するまで時間を要してしまうことから、今回私たちが選んだのは静岡県の富士宮ルートでした。
ルートを決めたら、次はどのようなスケジュールで登山するかです。新年早々に富士登山に挑戦することを決めてから、いろいろ下調べをしていたところ、登山に慣れていない人は、登山口を夜間に出発し、山小屋に泊まらず夜通しで一気に富士山を目指す、いわゆる「弾丸登山」は非常に危険との案内を頻繁に目にしました。弾丸登山をすると、確かに時間と費用は節約できますが、「無謀な弾丸登山でテクノプロ社員7名が遭難!」というようなことは絶対に起こすことはできません。そうでなくても、せっかく富士山に来たのに夜暗い道をひたすら歩いてもきっと面白くないので、一日目は体を慣らすためにも、登山口から2時間程度登った7合目の山小屋に宿泊することにしました。
登山開始
-7月13日
バスは時間通りに出発し、途中、浅間神社の総本社である富士山本宮浅間大社に止まって参拝をした後、いよいよ五合目を目指して、富士山スカイラインを登り始めます。2時間ほどかけて富士宮口五合目に到着。バスに乗っている間からだんだんと空気が冷たくなってきていましたが、五合目で既にかなり寒い上に、風も強く、とても今が夏とは思えません。高山病予防のため、ここでしばらく体を慣らしてから登山を開始する予定でしたが、寒さに我慢できず、早々に登り始めることにしました。しかし、登り始めて間もなくメンバーの小川さんの息が上がり、ゆっくりでも登るのが大変な様子となってきました。 他の人には先に山小屋を目指してもらって、しばらく私と一緒に歩いてみましたが、息苦しいだけでなく、体もしびれて動かなくなってきているとのことで、本人と相談して、無理をせずここで引き返すことに決めました。まだ登り始めたばかりのところで、メンバーが1人いなくなってしまうのは大変残念ですが、なにより安全が最優先です。この後、小川さんは下山バスで富士宮市まで戻りましたが、その後体調も回復したとのことで、結果的によい判断でした。
残る6人のメンバーは最初からけっこうきつい傾斜の山道を各自のペースで2時間ほど登り、18時半ごろには全員一日目の目的地である七合目、標高2,780mにある山小屋「御来光山荘」に到着することができましたが、この頃から強風に加えて雨も降り始めました。山小屋では夕食として提供されたお弁当を食べた後は各自割り当てられた部屋に入ります。部屋と言ってもカプセルホテルのような寝るだけのスペースで、さらに寝具も敷布団に寝袋です。夜が更けるにつれて雨風の音が強くなっていましたが、翌朝には天気が回復することを信じて眠りにつきました。
頂上をめざしていざ出発
-7月14日
富士宮ルートは富士山の西寄りにあるため、低い所では日の出を見ることはできないのですが、この御来光山荘ではその名の通り、ご来光を見ることができます。計画では4時半頃に起床して、朝日が地平線から顔を出すのを眺めてから出発・・・と思っていたのですが、頂上でご来光を見るため深夜に出発する人たちの話し声や物音でよく眠れなかったことと、何より朝になってもまだ雨の音が少し聞こえていたので、これは日の出を見ることは無理だろうと思って、もう少し寝ることにしました。
結局6時ごろにようやく眠い目をこすりながら寝床から這い出て、みんなで一緒に山小屋で支給された朝ごはん(パンとエナジーバーとジュース)をとりました。
出発する頃には幸い雨もやんで、風もずいぶん穏やかになっていました。最初はみんなでまとまって歩いていたものの、歩くペースがそれぞれ違うため、ほどなくして各自で登っていくようになりました。道中は他にも山頂目指して登っている人がいるのはもちろんですが、それより夜明け前後に山頂に着いた人たちが下りてくる方が随分と多かったです。それも話し言葉を聞いているとほとんど外国人観光客のようで、すれ違い時に挨拶したりするのですが、韓国や中国からの人が多く、中には「UK!」(United Kingdom)と答えてくれた若者もいました。山頂に近づくにつれて傾斜がさらにきつくなる上に、9合目を超えると空気の薄さも体にこたえてきて、深呼吸を繰り返しながら、さらにペースを遅くしなければ進めないようになりましたが、それでも一歩一歩着実に歩を進めました。
ついに富士山頂に到着
ついに9時頃山頂に到着しました!
別ルートで下山
伊丹さん 下山はもちろん登ってきたルートをそのまま下ってもいいのですが、「宝永山に登りたい!」という私の希望で、来た時とは異なる御殿場ルートから下りることにしました。富士宮口から宝永山を経由して山頂にいたる道は、かつて皇太子徳仁親王殿下が富士登山時に利用されたことから、特に「プリンスルート」と呼ばれているのですが、私たちはその逆のルートを辿るというわけです。
御殿場ルートは富士宮ルートに比べて利用者が少ないため、山小屋が少なく、しばらくはつづら折りが連続する岩場をひたすら下りて行きます。七合目を過ぎると、道は岩場から細かい砂地に変わり、普通に歩いていても駆け足のようなスピードで滑るように下りて行くことができるようになりました。
宝永山を下りたところで、直接五合目のバス停に向かうルートと、昨日通った六合目の山小屋に向かう分かれ道に出ました。どちらのルートを選ぶか迷って、その時私たちと同じように標識を見ていた登山者に尋ねたところ、山小屋経由の方がいいとのこと。私たちと同じくちょうど下山するところとのことで、山小屋まで一緒に行くことになりました。その道中でお話を聞くと、なんとこの方はバスで五合目まで来たわけでなく、小倉百人一首でおなじみの「田子の浦」、つまり海抜0mの0合目からスタートし、そこから42kmの道のりを歩いて登ってきたそうです。このような登り方は「ゼロ富士」と呼ばれていて、富士市がスタンプラリーまで行っていて、私たちは初めて耳にしましたが、決して珍しいわけではないようです。
そんな会話を交わしながら20分ほども歩くと、六合目の山小屋に到着です。予定より早いペースで順調に下山でき、帰りのバスまでにはまだ時間があったことから、山小屋の食堂で休むことにしました。ここでようやく一息ついて、別行動のメンバーに改めて状況を確認したところ、山頂から別行動をとった飯田さんはまだ下山中、恒崎さんは結局体調が回復せずそのまま下山して今は富士宮市内、そして竹谷さんはなんとちょうど私たちと同じ六合目にいたので、食堂に来てもらって再会することができました。本当に偶然同じところにいたので驚きましたが、話を聞くと、竹谷さんは私たちの出発後、しばらくしてから単独で登山を開始し、9合目までは登ったそうです。しかし、そのまま登山を続けると、帰りのバスの時間に間に合わなくなりそうだったので、そこで引き返すことにしたとのことでした。 9合目まで行くと、誰しも無理してでも山頂まで登りたくなると思いますが、自分の体調やバスの時間を考えてどのような行動をとればいいか冷静に判断できたことには感心しました。そんなことを話しているうちにやがてバスの時間となりました。下山中だった飯田さんは残念ながら間に合わず、4人でバスに乗車して富士宮駅前まで戻り、先に下山していた小川さん、恒崎さんとも宿泊先のビジネスホテルで合流しました。夜は福岡支店のメンバー全員で近隣の焼き肉屋に行ってみんな大いに盛り上がり、翌日の飛行機で福岡に帰りました。
今回、富士山に登ろうと言い出した私を含め、メンバー全員が初めての富士登山で、いろいろ分からないことも多かったのですが、飯田さんが名古屋支店から参加してくれるなど、皆さんのおかげで支店の枠を超えて富士登山を実現させることができたことに大変満足しています。全員が山頂まで登ることができなかったのは、残念と言えば残念ですが、登山中に動けなくなり、救護隊に助けられたというようなニュースも頻繁に見聞きする中、7人全員が無事に帰ることができて本当によかったです。
メンバーの中では次はみんなでどこに行こうか?という話をもう始めている人もいて、今から楽しみにしていますが、今度は命の心配までしなくて済むような企画にしたいですね(笑)
8合目辺り、下山途中の様子
参加メンバー感想
【岩切さん】
3,776mの場所は、想像以上に疲れました。
なんだかんだで、かなり疲弊しましたよ。足腰もですが、ポールを持っていた腕も9合目以降は、ほとんど上がらなかったです。もう「疲弊」という言葉では片づけられない、尋常じゃない疲労困憊を経験しました。
その状態の下山途中の山小屋で、富士山に350回登頂、700回登頂された方の記念写真が飾ってるのを見てもはや正気の沙汰とは思えませんでした。とはいえ、確かに疲れながらも、もう一度登りたくなる達成感と感動があることも自覚しました。帰りながら、帰り着いても、今も、何度も写真を見返して、700回どころか、1,000回思い出しても色あせない感動を得ることができたと思います。1,000回思い出すは言い過ぎかもしれませんが、気持ち的にはもうすでに1,000回以上思い返してます。
富士山にもう一回登ることがあるのかどうかはわかりませんが、また、同じメンバーで、どこかの山に登りたいものです。その際は、ビアガーデンを事前に探しておきます。楽しかったです。ありがとうございました。
【飯田さん】
名古屋支店在勤ですがテクノプロDoをみて福岡支店のサークルに4月に加入しました。
今まで登山経験がなかったためいきなり富士山登山が可能か心配でしたが軽い高山病はあったものの、ゆっくり行く、深呼吸をひたすらするということで無事山頂までたどり着きました。(事前に近場の超低い岩山で岩山の体験だけ行いました。)
ちまたの報道では富士山登山下山中の高山病含む事故が報道されており、今回この登山隊として全員で登頂できなかったものの少なくとも全員無事ということで最低限のことはクリアしていると思ってます。当日は曇りで御来光もみえない、山頂も濃霧だったり、ときおり雲や霧がなくなるなど一部だけみえる時間があったのでその隙で写真撮れましたが、天気ばかりは山小屋予約時点で分からないので一生のうちまた何回か行って御来光&絶景見たいです。
【恒崎さん】
登山初挑戦が富士山ということで意気込んでいたは良いものの登頂することができず悔しい結果となりました。
今回の登山では体調管理はもちろんのこと、栄養補給や衛生面の管理など、必要な準備や事前に考えておくべきことが足りていなかったのだと気付かされました。来年も機会があればその点を入念に準備したうえで再挑戦したいです。しかし途中下山というのも落ち込むことばかりではなく、早めに下山した残りの時間で下町を散策し、富士宮焼きそばを食べ、昭和から続いている古いおもちゃ屋で当時のおもちゃを見つけて感心し、商店街で祭りのポスターを見たりして富士宮という町の雰囲気を存分に味わうことができました。ある意味で自分だけの貴重な体験をしたかもしれません。
また、名古屋支店の飯田さんをはじめとした初対面の方々とのつながりができたことも大きな成果だと自負しています。金さんとは翌日の静岡観光をし、岩切さんとは7月定例会後の交流会でお話ができましたね!
是非ほかの方とも再会できることを楽しみにしておきます。最後に伊丹さん、貴重な富士登山へ挑戦するきっかけをくださってありがとうございました。9月交流会とドームリレーマラソンでまたお会いしましょう!
【伊丹さん】
上には「翌日の飛行機で福岡に帰りました」と、全メンバーが帰ったように書きましたが、何人かは福岡に帰らず、別の目的地へと向かいました。私もそのうちの一人で、3連休の間1日50kmほど走って富士五湖をまわり、さらに甲府まで足を延ばしました。
せっかくなので、いろいろと訪れた場所のうちいくつかをご紹介します。
①中学生時の修学旅行で訪れたはずなのに、まったく記憶が残っていないことがずっと心残りだったので、今回の富士登山とともにもう一つの目的地でした。
②千円札の裏に描かれている富士山はここからの眺めです!でも、雲が多くてよく分かりませんね。
③富士山の伏流水を水源とする湧水池。天然記念物にも指定され、福岡でもよくテレビで目にします。
~編集後記~
今回広報IR室の取材班も同じ日に登山させていただきました。富士登山経験者だったため、サークルの皆さんへはいろいろアドバイスをするなどして大きな顔をしてしまい、失礼いたしました。経験があること、出身が富士宮ということもあり、弾丸登山の計画でしたが、5合目出発時の強風と悪天候状況から、急遽伊丹さんが宿泊している山小屋の部屋を確保いただき、大変感謝しています。今回富士山ではある一定の標高になると植物が生えていないことに気が付きました。登山をされる方はお気づきかもしれませんが、通常は高山植物というものが2,500m以上で生育しています。しかし富士山では6合目以上行くと、岩や土だらけで植物が見当たりません。何度登ってもこのような発見があるのは楽しみの一つです。富士山周辺は伊丹さんにご紹介いただいたように、四季折々の富士山を背景に美しい自然を堪能することができますので、皆さんもぜひ一度お越しください。