中国のアパレル業界では、中国国内市場以外を対象とした衣料品については東南アジア工場を中心とした海外生産が一般化してきましたが、中国国内市場向けについては、まだまだ国内生産の方が結果としてコストは安いと判断されています。しかし、ここには、人件費の高騰、工場就労希望者の減少や離職率の高さ、そして作業品質の確保といった解決すべき課題があると言われます。
善誠科技発展(上海)有限公司(以下、「テクノプロ中国」)は、このような潜在的な課題を解決するため、画像認識やディープラーニング技術を活用し、洋服のサイズ・ロゴ・縫製状態などの外観検査が可能な機器とシステムを開発し、中国国家知的財産局から実用新型特許とソフトウェア著作権を取得しました。
取得した実用新型特許・ソフトウェア著作権の紹介
服装の寸法及び瑕疵検出システム
- エリアスキャンカメラによって服装を読み込み、ディープラーニングでの識別標識により服装の仕様及び該当する検査項目を紐づけ自動計算するシステム
- 検査結果をアウトプットし不良改善や効率化を図ることが可能
なお、テクノプロ中国では、中国市場における設計開発会社としてのステータスや信用力向上のため、従来から積極的に知的財産権を取得する戦略を採っており、これまでソフト著作権、外観特許、実用新型特許など約30件以上を取得し、または申請中となります。
開発者紹介
狄 劉華 (Di Liuhua)
テクノプロ中国 主席技術官 兼 無錫R&Dセンター技術責任者
画像データや音声データ処理の業務経験が豊富で、OracleやSQL serverなど主なDB、主要な開発言語をカバー。AI、ディープラーニングが得意領域。
「私は構想設計の前に、必ず特許や論文を調査するようにしています。服装に関するものは見当たりませんでしたので、これは行けそうだ!と直感しました。私の出身でもあり日頃から交流のある西安工業大大学に相談したところ、非常に関心を持って協力してくれました。特許取得までこぎつけることができて、テクノプロ中国の信頼度アップに繋がったと思います。」
馬 晟 (Ma Sheng)
無錫R&Dセンター長
技術でお客様の課題を解決。
中国技術開発シーンにおける無錫R&Dセンターの存在価値向上を目指す。
無錫R&Dセンター
2016年開設。高度な研究開発力で先進技術に特化。工業IoT/デジタル家電/自動車/AI分野等の組込ソフト・アプリ開発の総合ソリューションを提供。
中国で事業展開する外資系企業の中国工場での設備開発においては、中国の生産慣習に合致した装置を新たに開発するケースは少なく、本国の装置をカスタマイズすることが一般的となっています。現地法人から本国に開発要望を出しても、実現するまでに相当程度の期間と工数が必要になったり、場合によっては実現しなかったりすることもあります。今回のテクノプロ中国の開発は、このような中国ならではの開発事情も根底にはありましたが、お客さまとの会話の中から、課題解決に結びつけた、かゆいところに手が届くまさにソリューション提供の好事例となりました。