「若者よ、自分の将来も『口コミ』に頼るのか?」掲載後、様々な反響をいただきました。特に、「他人から勧められたものを積極的に受け入れるとともに、最後は自ら良し悪しを判断できる自分なりの軸をもつ」若者が増えてほしいというコメントに対して、「なれるものならなってみたいけど・・・」や「若者どころか、大の大人にだって軸をもっている人は多くはないよね」といった不安や疑問の声を多数いただきました。
自分で判断できる軸を持つことで、SNSや口コミ情報に一喜一憂することなく、ものごとの本質を見極める力を身につけることができます。そこで今回は、ネット情報との正しい付き合い方に焦点を当ててまいります。
国別SNSアクティブ率、日本ワースト2位
最近日本人、中でも若者のFacebook離れが顕著だと言われています。実際はどうなのでしょうか?イギリスのソーシャルメディア・コンサルティング企業「We are Social」が毎年報告しているデジタルマーケティング領域の各国比較調査「Digital in 2016」によると、調査対象国27国のインターネットユーザーの内、Facebookのアクティブユーザー数が日本はインドネシアに次ぐワースト2という結果になりました。一方、SNSと違い知人同士が連絡を取り合うことを主な目的とするメッセンジャーツールはどうでしょうか?最も使われているツールが各国ばらばらなため、今回はその国で最も利用されているツールで比較しています。すると、日本は26か国中18位。決して上位ではありませんが、SNS利用率にあったような顕著な低アクティブ率ではありません。
この要因を探るため、SNSとメッセンジャーツールの用途・特徴を比較してみます。
メッセンジャーは閉じられたツール
SNSとメッセンジャーツールは混同して語られることが多いですが、その用途は似ているようで全く非なるものです。
SNSの代表例には、前述したFacebookの他にTwitterやInstagramが挙げられます。これらSNSでは、設定により制限はかけられるものの、基本的には同一ツールの登録者ならば誰でも互いのタイムラインの書き込みを閲覧し合うことができます。自分の発言やシェアした記事、コンテンツがネット上に拡散される点で、文字通り「ソーシャル」なツールと言えます。
一方、メッセンジャーの代表例には世界的に利用者の多いFB messengerやSkype、アジアで爆発的に利用者を拡大しているLINE等が挙げられます。これらのツールの特徴の一つは、特定の個人、もしくは設定したグループの中でのみ発言が公開される点です。
■SNS
代表的なツール:Facebook、Twitter、Instagram
公開範囲:設定により制限可能も、基本的には該当ツールの登録者全員
■メッセンジャー
代表的なツール:LINE、FB messenger、Skype
公開範囲:メッセージを送った個人/グループ参加者
若者はTwitterで情報を集め、LINEで共有する
前回の記事でも申し上げましたが、10代、20代前半の若者の多くが「Twitterで情報を集め、LINEで共有する」と言われています。つまり、SNSのようなソーシャルツールで公開されている情報から興味のあるものを収集し、より閉じられた仲間内で共有、意見し合うと言うことです。
ここに、総務省の調査に興味深いデータがあります。口コミレビューサイトやソーシャルメディアへの書き込みについて、発信と受信とに分けて統計を行なった結果、フランスを除く5カ国で発信者よりも受信者の方が圧倒的に多いという結果になりました。
発信には責任が伴う
SNSに発信者よりも受信者、つまり閲覧するだけのユーザーの方が圧倒的に多い理由は、極めて単純です。誰しも、発信することで不特定多数に対して発言の責任を負いたくないのです。
自身や周囲の友人のSNSとの関わり方を思い起こしてみてください。『「いいね」をするだけ』、もしくは『シェアはするが、その際自分のスタンス等のコメントはしない』という方がほとんどではありませんか?これには、前述したSNSの特性、つまり不特定多数に自身の意見や立場が拡散されることへの緊張感があるのではないでしょうか?仲間内で語り合うメッセンジャーツールがパーソナルな空間(たとえば自宅や職場、大学の部室等)でとりとめない話をすることとするならば、SNSで投稿することは名刺を配った何百人もの前でパネルディスカッションに参加することと同義なのです。そこまでの認識はしていなくても、どこか身構えてしまう気持ちは誰しも経験したことがあるはずです。
SNSやWeb上の情報活用はその特性を理解して活用しよう
「SNSを活用した情報は、不特定多数に拡散される」と説明してまいりましたが、これは何もSNSに限った現象ではなく、世の中に存在するメディア、ツールを介した情報発信すべてに当てはまります。そして、これらの情報発信は、ときにその情報の正確性や拡散による影響などは、ほとんど意識されず、「拡散すること」だけを目的とするケースも多々あります。特にネガティブなコメントやバッシング的なコメントは、感情に左右されて発信されることが多いかもしれません。ここでさらに注意すべきは、出典元が明確だからといって、その情報が正確、公平とは限らない側面があることです。
さて、あなたはどう思う?
2015年6月に改正公職選挙法が成立し、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられて、2016年の第24回参議院議員通常選挙から適用され、18歳、19歳の約240万人が新たに有権者となりました。
結果は、全年齢の投票率が54.7%、18歳全体が51.17%(18歳男性49.43%、18歳女性53.1%)、19歳全体が39.66%(19歳男性37.31%、19歳女性42.11%)、18歳と19歳の合計が45.45%となりました。
この結果に対して、各種メディアは様々な見出しをつけて報道しています。
*『18、19歳の高い投票率の背景』(nippon.com)
*『18歳51%、19歳39%・・・低かった投票率』(讀賣新聞)
さて、あなたはどう思う?
焦点を当てる数字、当て方、考える軸によって随分違いますね。様々な情報を入手、咀嚼し、次の行動に移すための判断をするのは自分自身ですので、良し悪しが判断できる自分なりの軸を持たなければ、情報の波に翻弄されてしまいそうです。
調査並びに報告:株式会社スマートウィル(報告:2016年7月26日)
テクノプロホールディングス 採用担当者より
私たちが面接で就職活動生のみなさまとお話しする際、内容と同じくらい、もしくはそれ以上に端的に自分の意見を伝えられるかどうかを見ています。人に伝えたいと思う「何か」がある人は、数多のライバルの中でも確実に目立ちます。卒業研究の内容について詳しくご説明して頂く事がありますが、実は研究内容はそれほど重要ではなく、むしろ研究を通じて「何を体験したか」「どう思ったか」「何に活かせるか」、というような事をお聞かせいただきたいと思っています。様々な体験を通じてステレオタイプではない “自分らしさ” や “自分なりの軸” を表現できる人になって欲しいと思います。 |
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