テクノプロ・IT社(以下、「IT社」)のシステムソリューション事業部BAソリューショングループでマネージャーを務める西澤聡さん。西澤さんは、2016年2月にテクノプロ・グループ入りしたのち2020年7月に㈱テクノプロと法人統合した㈱オンザマーク出身です。今回、その西澤さんにテクノプロ中国と連携したソリューション事例についてお伺いしたところ、『人』の出会いとめぐり合わせによる、まるで物語のようなストーリーをお聞きすることができました。
思わぬきっかけでお客さまからプロジェクトの相談が
TPCと連携してお客さまにソリューションを提供されたそうですが、どのような経緯だったのでしょうか。
西澤 長野県にある精密機械を中心に製造販売するメーカーが、中国広東省の東莞工場でのERPのリプレイスプロジェクトを進める際に、当初プロジェクトを担当していた開発会社との間で機能やコストの面で合意が難しい状況となったのですが、そのお客さまから、私が携わった他の企業で、同種のERPを導入した事例を聞きたいと依頼されたことが話の始まりです。
私は単なる事例紹介のつもりでプレゼンしたのですが、一通り説明を終えたところで、お客さまから「コンペに参加してほしい」とご依頼いただきました。お客さまの話しぶりからは、コンペと言いながらも相当程度にIT社へご期待いただいている様子が感じられましたし、私としても導入予定のERPは良く知っていたこともあり技術的な問題はなかったのですが、中国工場への導入ということで、開発体制をどのように組むのかなど、プロジェクトの遂行に関しては正直なところ不安だらけでした。
奇跡のような『人』との出会いで成功が視野に
本プロジェクトに参加された高橋さんはこのころにIT社に入社されたそうですね。
西澤 はい、そうなんです。その後、お客さまとは何度かやり取りを行っていたのですが、その間も頭の中はプロジェクト体制のことで一杯の状態でした。そんな時に、高橋さんが面接に来てくれたんです。高橋さんは、製造メーカーで情報システム担当者としてERPの受け入れ業務を経験し、製造業の業務も熟知していて、しかも中国で仕事をしていたことがあるという、私にとっては理想どおりの技術者だったんです。
高橋 私は、これまで携わってきた業務の中で多くの開発会社さんとやり取りをしてきたのですが、顧客の要望を聞いているようで実は自分たちが導入したいと考える機能パッケージをあたかも当然のように提案してくる―すべての開発会社がそうだとは言いませんが―そのやり方に疑問を感じていました。そんな気持ちがあったので、いつかチャンスがあれば「お客さまの本当の課題が解決できるような、ユーザー本位な担当者としてシステム開発をやってみたい」と思うようになったんです。面接を担当してくださった西澤さんもまさに同じ考えで、意気投合してすぐに入社を決めてしまったという感じです。今にして思えば、「プロジェクトを何とか成功させたい」という西澤さんの熱意に押されてしまったのかもしれませんね(笑)。
リリース直前の大ピンチを救ってくれたテクノプロ中国
西澤 そんな、奇跡のような高橋さんとの出会いもあり、中国東莞工場案件を無事に受注することができ、高橋さんの製造業に対する豊富な業務知識と、東莞に常駐してお客さまに寄り添った提案や調整をしてくれたおかげでプロジェクトも順調に……と言いたいところですが、そう簡単には行きませんでした。お客さまから「中国のシステム会社にお願いして開発する予定だった、ERP本体と連携する注文書・検収書・売掛金・買掛金などの周辺システムの開発の目途が立たない」という相談を受けたんです。リリースまで残すところわずか3ヶ月、すでにERPは着々と開発が進み、間もなく本体テストという段階で突如として発生した大ピンチでした。
IT社で適切なリソースをアサインすることもできず、日頃から連携している日本国内のパートナー企業も中国の商習慣についての知識が不足するため対応は困難な状況でした。なんといっても工場の担当者が中国人であったことがコミュニケーション面で大きなハードルでした。もともと周辺システムの開発は契約外なのでお断りして、その開発完了を待つ決断をしようとしたのですが、その時にふとテクノプロ中国のことを思い出し、協力を依頼したんです。結果、この判断が大正解で、もっと早く連携すればよかったと後悔しています。
高橋 テクノプロ中国はこちらの申し入れを快く受けてくれて、即座にお客さまの東莞工場にほど近い杭州開発センターにプロジェクトチームを立ち上げてくれ、お客さまにとっても望外の急展開となり、大変喜んでいただきました。テクノプロ中国のマネージャーは、積極的にフロントに立って中国と日本の異文化間で発生する行間の違いを見事に埋めながら、要件定義からスケジュール調整まで確実に開発を進めてくれました。開発段階で出てくる現場からの新たな要求も上手に吸収し、お客さまからの常駐延長依頼にも対応しながら、最後の導入支援までやってもらうことができました。
西澤 東莞工場は、お客さまのモデルシステムとしての位置づけですので、今後、東莞工場のシステムが日本国内の工場や中国の別工場、さらには他国の工場へもグローバルテンプレートとして導入されていきます。お客さまからは引き続き受注をいただいており、すでに一部着手しているプロジェクトもありますが、それぞれの国情に合わせてユーザーの目線に立ったシステムを導入していきたいと考えています。
「『技術』と『人』のチカラ」が体現された印象深いプロジェクト
西澤 今回のプロジェクトは、日本と中国をまたぎ、短納期に加えて突然の追加開発対応、そのうえコロナ禍といった多くの障壁に直面したプロジェクトでしたが、お客さま、高橋さん、そしてテクノプロ中国など、多くの出会いによる無限の可能性を感じられました。技術系人材サービス最大規模のテクノプロ・グループには、強い味方になってくれるグループ会社と優秀なエンジニアが数多くいることを、身を持って体験することができました。取ってつけたような言い方かもしれませんが、「『技術』と『人』のチカラ」が意味するところははこういうこなのか、と深く記憶に残るプロジェクトとなりました。
特に、テクノプロ中国は日系企業との取引が多いことから日本の商習慣についての理解も深いことが今回のプロジェクトを通じてよく分かりましたので、今後は国内の連携先と同等以上の強力なパートナーとして開発連携をしていきたいと思っています。
ソリューションサービスを成功に導くには『人』のチカラが欠かせないことがよく分かるエピソードでした。貴重なお話をありがとうございました。
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