協賛・スポンサー

NPO法人Waffleとパートナーシップ契約を締結

写真左より、Wallfe西野さん、Waffle田中共同代表理事、当社八木代表取締役兼CEO


IT分野のジェンダーギャップの解消及び女性STEM人材育成の活動を展開するNPO法人Waffleとパートナーシップを結ぶにあたり、同法人の共同代表田中沙弥果さんとTHD八木CEOが対談しました。
(STEM:Science [科学]、Technology [技術]、Engineering [工学]、Mathematics [数学]の分野の総称)

社会課題としての女性STEM人材育成の必要性

八木 当社はこれまで、科学技術振興機構が主催する「科学の甲子園や甲子園ジュニア」への協賛、未就学児や小学校児童に科学の楽しさを知ってもらう「テクノプロ・キッズサイエンス」や、中高生を対象にした特別キャリア授業「Future Creating School」の企画運営など、未来の技術者・研究者の育成を支援する取組みを行ってきたのですが、発展的に一歩踏み出すきっかけを探していました。女性STEM人材の育成に注力されているWaffleや田中さんの活動にはかねがね注目していまして、連携できることがあるのではないかとの考えからお声をかけさせていただいたという次第です。

田中 今回お話をいただいて、私もとてもうれしかったです。残念ながら、日本はまだジェンダーギャップが大きい国です。一方、欧米などでは女性が参加していない会議体は、ジェンダーバランスが悪いということで開催できないようなケースもあり、日本でもそのような時代が来ることを目指して、女性の活躍を後押しする活動に注力しています。特に、女性に敬遠されがちなITやエンジニアの仕事をやりたいと思う女性をもっともっと増やしていきたいんです。私自身、大学時代に渡米して、テクノロジー、特にITがどれだけエキサイティングなものなのか、体感することができました。

八木 日本の慢性的・構造的な技術者不足は当社事業に直接影響を及ぼす可能性のあるリスクと捉えていまして、女性やシニア、外国籍など未だ活躍機会の余地のある人材を一層活用していくことが、今後の会社の成長のためにも重要だと考えています。当社が、女性の採用比率・管理職比率をはじめとするダイバーシティ関連のマテリアリティを掲げているのも、そのためです。また、女性の採用比率を上げようにも、いまや全体の2割にも満たないところまで減少してしまった理工系専攻の大学生の中でも女性が占める割合が低い、という実態もあります。大学受験を来年に控えた私の娘も、文系・理系のどちらに進むか悩ましいようなのですが・・・。社会全体でも女性STEM人材の育成に取組む必要性・意義を痛感しますね。

キャリアの8割は行動をベースにした偶然で形成される

八木 田中さんの渡米や起業のご経歴や活動の中身を知って、意志と行動力の大切さを改めて感じました。当然、良い結果につながったのは、ご縁や偶然のお蔭もあるかと思いますが、私がここで思い出したのは、プランド・ハップンスタンス(Planned Happenstance、計画・意図された偶発性理論)というキャリアについての考え方です。この考えでは、特に変化の激しい時代ではキャリアの8割は偶然によって形成される、しかし、だからと言って何もしないのではなく、「行動することによって、計画又は意図された偶然というものを呼び込むことが大切だ」と言っています。まさに今ソフト開発でスタンダードになりつつあるアジャイル開発のキャリア版とでもいうのでしょうか・・・。プランド・ハップンスタンスを体現してキャリアを築き活躍されている田中さんのような存在は、当社グループの特に女性エンジニアにも元気を与えてくれるのではないでしょうか。

田中 褒められると、なんだか気恥ずかしいですね。自分では自覚はないのですが、他の方から行動力があると言われることはあります。小学生の頃は、自分で理解できないことをよく質問していた記憶がありますが、中学・高校になると女性は静かにしていた方が良いというような「同調圧力」もあって、こんな私でも、しばらくおとなしい時期があったんです(笑)。その後、留学先のアメリカで自分の意見を伝えることで、相互理解も深まり物事がうまく回り出す経験を何度もしたことで、意見を伝えることの大切がわかりました。今は伝えるべきことは言えていますし、やりたいことは行動に移すことができていると思います。

八木 オープンなコミュニケーションは、国や場面を問わず大事だと思いますね。

業界のリーダーとしてダイバーシティの方向性を明確に

田中 私たちは、何とかして日本のITのイメージを変えられないか・・・、と思っているんです。中高生と話をしていると、“難しそう”とか“暗い”とか、ギークな感じというのでしょうか、ITの仕事に対するイメージがあまり良くないんです。中高生が思い描いているIT業界のそんなイメージから「そんな働き方は自分にはできないから理系に行かない」と思ってしまう子たちも多いみたいで、そのようなイメージをどうやったら変えられるんだろう?と思っています。Waffleでは学校を訪問してキャリア教育などの活動も行っているのですが、所詮限られた範囲の活動になってしまいます。もっと社会全体としてITのイメージを変えることができたらいいな、と思っています。

八木 日本特有の下請け構造や人員不足に起因する過重労働などのIT業界につきまとってきたマイナスのイメージも、影響しているのかもしれませんね。しかし、世界で高く評価されているIT企業では、働く人たちにとって魅力的な仕事と環境が用意されています。私たちが目指す姿もまさにそれで、これまでも育児休業・時短勤務をはじめとする諸制度の導入や長時間労働の撲滅なども果たしてきましたし、コロナ禍によって定着化したリモートワークや受託・開発事業の拡大によって、女性もますます活躍できる環境が整ってきていると思います。

田中 テクノプロでの働き方は、中高生にとってとてもポジティブなメッセージになると思います。業界をリードする会社が明確に方向性を打ち出すことはすごく意義のあることだと感じますし、私たちが目指す女性IT技術者育成においてもサポーティブで、とてもありがたいです。是非頑張っていただきたいです。

八木 人間が担ってきた業務がAIに代表される高度なテクノロジーに取って代わられる時代になってきましたが、だからこそ、製品や技術の中には、人間ならではの配慮や気配りが埋め込まれているべきだと思いますね。女性が開発プロジェクトに参画することで、男性だけでは気づきにくい“ひと手間”や“ひと工夫“が生まれることもあるでしょう。まさに、田中さんが「科学技術の発展段階で女性の視点が漏れていて、自動車は170㎝の男性を対象に設計されてきた」と、おっしゃったように、プロダクトデザインにおいてもダイバーシティの考え方はすごく大切だと感じます。「DXの推進や製品・サービスを開発する段階でも女性目線が必要とされている」という、産業界からの女性に対する期待も伝えていけるとよいかもしれませんね。

女性活躍の可能性を一緒に探していきたい

八木 Waffleというお名前は「Women Affection Logic Empowerment」の頭文字から来ているとのこと。テクノプロ・グループのタグラインも「Technology to Empower the Future」というのですが、私は「empower =力づける・力を与える」という言葉が大好きです。Waffleとテクノプロが相互の理解を今後深めていきながら、女性を一層エンパワーしていく可能性を一緒に探していきたいですね。

田中 NPOの私たちと民間企業のテクノプロとでは立ち位置は随分違うと思いますが、想いには共通点が多いことをお聞かせいただきました。Waffleとしても、企業が社会貢献やダイバーシティ推進の計画を立て、実際に行動してくれるのはとても心強く感じます。今後もいろいろとご相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
あ、そうそう、文理選択で悩まれているお嬢さんも、是非Waffleのイベントへどうぞ!

八木 こうして直接お話をさせていただき、女性目線の大切さを改めて確認することができました。今後の会社の事業運営や施策検討においても今日のお話を大いに参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

NPO法人Waffle(ワッフル)

 IT分野のジェンダーギャップの解消を目指す非営利団体。国内の女子中高生向けにオンラインIT(コーディング)コース「Waffle Camp(ワッフル・キャンプ)」の提供、日本国内での「Technovation Girls(テクノベーション・ガールズ)」のサポート、企業との協働による各種イベントを開催。2022年からIT系キャリアに興味を持つ女子大学生・大学院生を対象とした「Waffle College」がスタート。「第5次男女共同参画基本計画素案」に対するパブリックコメントをはじめとする政策提言も積極的に行い、2020年第4回ジャパンSDGsアワード「SDGsパートナーシップ賞」受賞。2022年「パーソル ワークスタイル アワード2020 ネクストジェネレーション部門」受賞

ウェブサイト:https://waffle-waffle.org/

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