2021年1月、コロナ禍による2度目の緊急事態宣言が発出された福岡県。
テクノプロ・IT社福岡支店に拠点をかまえるクラブ・サークル「テクノプロIT 福岡RC」も、各地で開催されるマラソン大会の中止や人が集まっての活動自粛などにより、活動が減ってしまっています。そんな中、サークルリーダー伊丹さんの声掛けで、「社会に役立つこと」という視点に立った活動がコツコツと進められています。以前、本コラムで大牟田市での農地復旧ボランティアの様子をお伝えしましたが、今回は、“サークルメンバーと献血に行ってきた”との一報がとどきましたので、お伝えします。
献血そのものはとりわけ珍しものではありませんし、献血をしたことがある人も多いと思います。でも、一度も体験したことのない人にとっては「様子がわからず、何となく怖い」というようなイメージもあって、“二の足を踏んでいる”、なんてこともあるのではないでしょうか?コロナ禍による外出自粛や企業の在宅勤務の普及、献血バスの運行中止などのさまざまな影響によって、献血協力者が減少し、必要な輸血用血液の確保・供給が深刻な状況であることは、メディアでも伝えられていますのでご存知ではないかと思います。
今回のコラムには、投稿者の「この記事を読んで少しでも興味を持ったり、献血に対する不安が解消されたりした人が、一人でも多く献血ルームに足を運んでもらえるようになれば嬉しい。」という思いが込められています。
献血ルームおっしょい博多
場所は、“献血ルームおっしょい博多”。かわいらしい名前ですね。“おっしょい”とは、博多を代表するお祭り「博多祇園山笠」での掛け声で、福岡県では飲食店名やテレビの番組名でも良く目にする県民にとっては馴染みのある言葉だそうです。献血ルームおっしょいは、福岡県内では最大の献血ルームで、博多駅に隣接する博多バスターミナルの8Fという絶好の立地で、雰囲気も落ち着いていて、献血に慣れている人にとっては気軽に立ち寄れる感じだそうです。ちなみに、東北仙台では、白粉(おしろい)のことを“おっしょい”と言うそうです。
※ここからは、伊丹さんのレポートに沿った掲載ですので、献血ルームによって若干違う場合もあると思いますが、内容は概ね同じです。
Step1 受付
献血の副作用や献血した血液の利用目的などについての説明に同意して、献血に申し込みます。献血経験者は受付の一部を省略できる場合があるそうです。
Step2 タッチパネルで質問に回答
献血者の安全を守り、また、患者が安心して輸血を受けられるように、現在の健康状態や病歴、外国への渡航歴など、必要な質問にタッチパネルで回答します。
Step3 血圧・脈拍数
血圧と脈拍数を測定。結果が規定の範囲内に収まっていないと献血することはできません。私たちは、日頃から健康状態には気を使っているので(つもりなので)、全く問題ありませんでしたし、献血は初めてではありませんので、ここまでは至って順調です。
Step4 医師の問診
タッチパネルでの回答内容に基づいて、医師から基礎的な問診を受けます。
Step5 検査採血
ヘモグロビンの濃度が採血の基準を充たしているか測定したり、血液型を確認したりするため検査採血をします。ここでは健康診断で聞き慣れた「消毒でかぶれたことがありますか?」と聞かれます。
献血によって、自分自身の健康チェックにもなるので、逆にありがたいですね。
Step6 いよいよ採血
献血には全血献血と成分献血の2種類がありますが、今回は成分献血です。献血ですから当然腕に針を刺すのですが、これが検査用よりも太くて刺す時ちょっとだけ痛いです。これまで私は180回以上献血をしているのですが、この瞬間だけは慣れることができず苦手と言えば苦手ですが、刺してしまえば痛みはありません。献血中は、テレビを見たり好きな雑誌を読んだりしながら、ゆったりと終わるのを待つ感じです。おっしょい博多では一人に1台テレビが用意されています。
ところで、注射や採血をするとき看護師さんに「ちょっとチクッとしますねえ~」と言われると思います。ところが福岡では「チカッとする」と表現するのですが、期待通り、私を担当してくれたスタッフの方もそう言いながら針を刺してくれました。チカッと言えば福岡県民だそうです。
Step7 休憩
献血が終わったらすぐに帰るのではなく、献血ルーム内で水分を補給しながら10分以上休憩をとることが決まりになっています。献血ルームにもよると思いますが、お茶・ジュース・コーヒー、お菓子などが用意されていますので、お菓子をつまみながら本を読んでいると、係の方から献血カードが返却されて、本日の献血はこれで終了です。
Step8 結果確認
翌日には自分の血液の状態がウェブサイトで確認することができ、数日後には郵送でも送られてきます。
全血献血と成分献血について
献血には、全血献血と成分献血があります。全血献血は血液中のすべての成分を献血する方法で、400mL献血と200mL献血があります。採血した血液の全てを献血する方法で、休憩時間を含めても30分程で終わります。
一方、成分献血には血小板成分献血と血漿成分献血があり、どちらも専用の装置を使用して血小板や血漿といった特定の成分だけを採血します。体内で回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻す方法なので身体への負担が軽く、次回献血も全血献血の半分以下の間隔で可能となるのですが、採血して必要な成分だけを抜き取った血液をまた体内に戻すというサイクルを3~4回に分けて行うため、全て終了するまで約2時間程度と時間がかかります。
日本赤十字社のホームページによると、血液には有効期限が定められていて、血小板製剤の有効期限は採血後4日間とのことですが、検査時間として1日使ってしまいますので、実際にはたったの3日間だそうです。赤血球製剤の有効期限は21日間と少し長いのですが、3日間で使用する程度を保管量としていて、不足する分は、日々の献血によって確保されているそうです。詳しくは、日本赤十字社のホームページなどをご覧ください。
(2021.03.02)