設計開発・製造業に強いコンサルティンググループである株式会社O2(オーツー)は、テクノプロ・グループとのアライアンスを通じてお客様へ「設計開発コンサルティングと教育研修」のサービスを提供しています。
「当社の知見とテクノプロさんの知見とが融合することで、お客様へ個別に最適なソリューションのご提供が可能になるでしょうし、テクノプロさんのエンジニアのみなさんの活躍の場は無限に広がると確信しています」と語る同社ゼネラルマネージャーの佐野直人氏に、O2の事業とアライアンスについて詳しくお話を伺いました。
まず始めに、O2がどのような会社か教えていただけますでしょうか。
佐野氏 私たちO2は「日本の製造業を元気に!」を合言葉に、デジタル化の波の中で多くの課題を抱える製造業に対して改革コンサルティングサービスを提供しています。
経営コンサルティング会社は世の中に数多くありますが、私たちは製造業のお客様に向け、概念だけに留まることなく、業務を起点に技術面までカバーした改革提案を行うことができるコンサルティング会社として稀有な存在であるという自負を持っています。
私たちのコンサルテーションの基本は、製造業における様々な課題を洗い出し、技術に踏み込んだ改革手法で設計の効率化・品質の安定・新規設計力の強化などの効果を目指すものですが、AIを含むデジタル技術の導入なくしてこれからの製造業は考えにくいと思います。設計、生産いずれのシーンにおいても人が行う業務が減っていき、AIやIoTなど、デジタル化が進展していくことは間違いないでしょう。
しかし、異論があろうことは承知の上で申し上げると製造業の現場には「これまでは必要だったが、今では排除可能な業務」がまだまだ多く残っているのが実態です。
その要因として、例えば新しいテクノロジーの進展に気付かない、あるいはその活用の方法が分からないといったケースや、人材の採用や育成が上手くいかない、従来型の業務を改革する機運が醸成できない、といった様々な課題の存在が挙げられます。
そうした課題を認識している方もいるでしょうが、どうしても現状の業務が優先されてしまって改善に着手できない、それが製造業の現実であると考えています。
佐野氏 これは製造業に限らず、企業一般について同様のことがいえるかもしれませんが、長年かけて作り上げてきた自社のプロセスや企業としての考え方を、改革という名のもとで変えていくのには勇気が必要ですし、変えるにしても何が正解なのかが分からないことも往々にしてありますよね。
つまり、無駄じゃないかと気付いていながらも内部の人間では改善ができないこと、ここに私たちO2がお手伝いする場がある訳です。
私たちのコンサルティングを必要とされているメーカーの中には、法人の統廃合や組織改編などを経たことでノウハウの共有方法や教育制度が混乱してしまい、それが障害となって技術伝承面での課題を抱えているケースが少なくありません。そうした悩みを抱えた企業に対してきめ細かくヒアリングを行い、議論を進める中で課題の本質についての考察や具体的な支援策などをご提供し、最終的にクライアントが「こうすればいいのか」と納得して明るい表情を取り戻した時は、まさにコンサルタント冥利に尽きる瞬間ですね。
国内でもAIなどについて耳にすることが多くなったように思いますが、製造業のデジタル化はまだ十分でないとお考えですか。
佐野氏 そうですね。AIを例に取ってみても、特許の出願状況などから判断すると日本はAI先進国に遅れを取っているのが実態であると言わざるを得ません。
世界がAI研究に傾注していった1980年代の第2世代AI時代に、日本では「人の経験や思考からの判断に勝るものはない」という考えから離れることができず、結果としてAI開発が国内で広がりを見せることがありませんでした。現在、脚光を浴びているのは第3世代AIと呼ばれるものですが、第2世代で世界に差をつけられた日本が今後世界のAIと伍していくためには、相当な覚悟と工夫が必要だと思います。
誤解のないように申し上げておきますが、AIが万能だと言いたい訳ではありませんし、AIばかりに焦点を当てるつもりもありません。しかし現在の、そして将来における慢性的な人材不足が明らかな状況下でAIが果たす役割が非常に大きいということ、これは無視できない事実であると考えています。
デジタル技術導入も含めた製造業の改革を支援するO2が、テクノプロ・グループとのアライアンスで得るメリットは何でしょうか。
佐野氏 アライアンスの取り組みとして、製造業界でエンジニアとして活躍してきたテクノプロさんのメンバーを研修生として受け入れて6か月にわたり当社のプロジェクトに参画していただき、実践を通してコンサルティングのノウハウを吸収してもらった上で、当社と共にお客様に向けた技術コンサルティングサービスを提供しています。
当社のクライアントにご満足いただくためには、当然モノづくりについての広く深い知識が不可欠です。アライアンスにおける育成では、設計プロセスの可視化やアーキテクチャ設計支援、クライアント向けの技術教育など、それぞれのエンジニアの技術的バックボーンを活かす形でコンサルティング業務を習得してもらいますので、机上の空論ではない、技術に踏み込んだ改革手法で設計の効率化や品質の安定化といった効果を出すことができます。
また、私たちO2グループがクライアントに対して支援を行う重要なテーマのひとつとして、優秀なエンジニアの養成や育成環境の構築、定着に向けたサポートがあります。この分野については当社のグループ会社である株式会社XrossVate(クロスベイト)が、ものづくりの全工程を網羅した全体視点の設計を学習できる『ゼロから設計マン』という研修を提供しており、テクノプロさんにもご利用いただいているのですが、テクノプロさんの取引先企業にもこのサービスをご提案し、実際に導入していただくことができました。
製造業を中心とした多くの顧客を有し、そして豊富な人材を擁するテクノプロさんとのアライアンスによって、自分たちだけではアクセスすることが難しかった業種の実態について知見を共有していただくことができますし、クライアント支援に必要となる実践的な設計知識に触れる機会が得られる点は大きなメリットだと考えています。