各種調査データ

米国と比べエンジニアの給与水準が低い日本

テクノプロ・ホールディングスは、同志社大学STEM人材研究センターの協力のもと、「エンジニア給与の日米比較」調査を実施しました。その結果、日本においては他の職業と比較した際のエンジニアの相対的な給与水準がアメリカよりも低く、また調査期間の8年間でエンジニア年収が上昇したアメリカとの差がさらに拡大していることが明らかになりました。

調査結果

図1、2を見ると、日本の技術者の給与はアメリカに対し6割程度と低い水準であることが表されています。管理職では、日米の給与水準にほとんど差はありません。エンジニアの給与が他職種より高い水準にあるアメリカに対し、日本の技術職は平均給与が高くない傾向であることが読み取れます。
日本では高度専門職の医師や管理職、高校教員などの年収水準が本調査の職種内において上位に存在しており、技術者やSE、プログラマーなどはそれに次ぐ中間の層に位置付けられています。プログラマーの給与水準は技術者(士)やSEなどに比べて低く、中間の層と低位グループの間に位置する形となっています。
一方、アメリカの技術関連職種の平均年収は男女とも医師や薬剤師などに次いで上位に分類されており、中でも女性の技術職の給与水準は部長、課長などの管理職よりも同等かそれ以上の位置にあります。


中小企業、大企業とも、日米の給与水準の差は2009年から拡大

図3~6のグラフを見ると、サンプル数の多いコア年齢(35~44歳)の2009年と2016年の数値を日本とアメリカで比較したところ、アメリカでは中小企業(規模10人~999人)、大企業(規模1000人以上)のどちらにおいても技術者、SE、プログラマーなど技術関連職の給与水準が上昇して他職種に対する位置が相対的に高まっているのに対し、日本ではこれらの技術職の平均給与はあまり上がっておらず、アメリカとの差が拡大しています。



給与の分布においても、日本のエンジニアの給与水準はアメリカに比べ全体的に低い

図7、8の日米プログラマーの給与分布を比較しても、日本のエンジニアの給与水準はアメリカを大きく下回っています。一方で、管理職の給与水準には大きな差が見られません。

「エンジニア給与の日米比較」調査について

日本型雇用制度は職種別賃金でないため、人材不足でも特定の職種の賃金だけを上げることは難しく、このことが不足する技術者の処遇改善を遅らせ、人材不足を招いている一つの背景と考えられます。こういった意味から、プロフェッショナルの労働市場を確立し市場価値を向上させることで、技術人材不足の解消に貢献する役割も技術者派遣には期待されています。
テクノプロ・グループは、エンジニアがよりいっそう創造的に活躍できる環境の創出に尽力し、その実現によって日本の科学技術の発展に寄与することこそが、技術サービス業界のリーディング企業として自社が社会で果たすべき使命であると考えています。

調査データ:
(日本)厚生労働省『賃金構造基本統計調査』(2009年、2016年)/総務省『就業構造基本調査』(2012年)
(米国)Bureau of Labor Statistics “Current Population Survey “(2009, 2012、2016)を元に分析
実施期間: 2018年5月1日~9月30日
データ:『賃金構造基本統計調査』については、公表集計データ、『就業構造基本調査』は、特別集計結果を利用。
“Current Population Survey “については、公開されている匿名個人データ約14000サンプルを利用。

(2019.07.10)

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