日本政府が強力に推し進めている「働き方改革」。土木・建築業界においては、若干具現化が遅れている様子もうかがえる状況と言えます。この背景には、労働力人口の減少や熟練技術者の高齢化に加え、前工程における工事の遅延や施主による無理な発注など環境面からの要因も国土交通省の調査(2010年)では指摘されており、建設業界における「働き方改革」を進める上では建設業界企業のみならず発注者も巻き込んだ取り組みが求められそうです。
こうした状況を鑑み国土交通省は、働き方改革や地域社会の活性化についてまとめた「社会資本整備におけるイノベーション推進」の中で、ICTやAIなどの最新技術を活用した『i-Construction』について詳細情報を発信し、併せて2025年までに建設現場の生産性20%向上という具体的な数値目標達成に向けたロードマップも紹介しています。
働き方改革やi-Constructionのキーワードは『3D化』。3次元で設計・施工のシミュレーションを可能とするBIM(Building Information Modeling)の導入により、建築モデルにコストや管理に関する必要な各種情報を付加することで、より効率的で多面的な設計・施工が可能になります。こうしたAI技術を活用した建設技術の普及により、これまで熟練工しかできなかった経験と勘が必要とされるような建設現場にも新たな局面が見えてきました。そこで、求められるのは新たな人材となります。
2019年1月12日(土)、TKP京都四条駅前カンファレンスセンターでV-COMON主催により『~最先端建設技術が変える未来の働き方~』と題したセミナーが開催され、京都市立高校の生徒さんを中心に保護者や教職員の方など約70名が参加しました。
セミナー概要
「AIとロボットの活用が建築技術者の働き方を変える」
講師:家入 龍太氏
株式会社イエイリ・ラボ代表取締役
建築ITジャーナリスト、関西大学総合情報学部非常勤講師
「IoTが変えるエンジニアの働き方」
講師:渋谷 和宏氏
経済ジャーナリスト、作家、大正大学客員教授
「日本最大の技術者派遣企業が取組む新しい働き方」
講師:田中 靖雄
株式会社テクノプロ・コンストラクション常務執行役員
参加した生徒さんは、ICT建機が活躍する土木工事の様子や大型3Dプリンターを使って実際の建物が建つ工程などの動画を興味津々に見たり、初めて耳にした派遣技術者という働き方について質疑応答の時間を活用してより理解を深めたりと、内容の濃い3時間半のセミナーとなりました。
施工管理技術者を中心に2,200人以上の技術者を擁する㈱テクノプロ・コンストラクションは、本セミナー開催趣旨に賛同し協賛しました。
(2019.01.12)